投稿時代 子供の頃から漫画を読むのも描くのも大好きで、職業として漫画家を選ぼうとまでは思わなかったが、自分の作品を一度は商業誌に載せて
みたい、というのが夢だった。 ある時、別に漫画でなくても自分の作品を商業誌に発表することが可能であることに気づいた。 それが、SM雑誌の投稿欄である。 SM雑誌は、誌面におけるイラストやカットの占める割合が非常に高い。特に当時の業界トップ誌であったSMセレクトは、新しい作家の
発掘に熱心であり、投稿欄も充実していた。私は手始めにセレクトに投稿してみることとした。 一回目は四枚ほどの作品を送っただろうか。それが昭和55年7月に一枚、翌8月に姉妹誌である小説SMセレクトと合計で三枚が掲載さ
れた。以後昭和60年12月までに合計六〇枚以上のイラスト・カットががセレクトおよび小説セレクトに掲載されることになる。 イラスト修行女性の絵を描くのが大好きである。ついでだが、女性そのものも大好きである。そもそも漫画を描き出したのも、自分の好きなタイプの女 性の絵が描きたいがためだ。漫画の場合は、ストーリーの進行上、描きたくない絵も描かねばならないが、一枚絵であるイラストやカットは、主役である女性を しっかり描きこめば、後は比較的どうでも良い。 しかし、女性の裸は難しい。これほど微妙な曲線で囲まれた物体は世の中にないであろう。造化の極致ともいえる。 また実物の裸体モデルのクロッキーも随分やった。デッサン用の写真集も買って、練習した。 一枚絵のおもしろさ 投稿カットの難しいところは、一枚の絵で、状況を全て表現しなければならないところである(連作のイラストというのもあるが)。 そのためには、全裸よりも、多少の衣装を身につけていた方がよい場合もある。小道具や背景にも気を配らなければならない。 それと、やはりマニアが描くわけだから、その道に対するこだわりというか、病気のようなものが表現されていないと物足りない。プロの
仕事としての挿し絵なら、ある程度以上の画力がないとどうしようもないが、投稿カットの場合は、技術よりもそういったこだわりが重要である(もっとも、だ
からといって下手でも良いというわけではない。健全なプロの絵より、病気のアマの絵の方が面白いということである。病気のプロがいれば一番良い)。 CGにはまる一時遠ざかっていたSMイラストの世界に再び足を踏み入れたきっかけは二つある。 ひとつは、風俗資料館ホームページの運営をしているN氏から、ホームページに昔の絵を掲載してみないかというお話があり、掲載したと
ころ、内外から結構反響があったことである。 次に、ペインタークラシックというというペイントソフトを買って、これに見事にはまってしまったことである。 余談であるが、CGというとすぐに3Dだのなんだのと難しいことをいう人が多い。CGの専門書もそういった難しい視点から描かれ、
フォトショップを駆使した高度な技術を要求するものがほとんどである。 春画の迫力 最初のうちは発表を意識したもの(資料館で、絵葉書にして販売しているものがそれである)を描いていたのであるが、そのうちまったく
自分の楽しみ用に描き出すと、これがまた面白い。 しかしながら、自分の助平振りをいいつくろうわけではないが、人間のあるべきところにあるものを描かないということはやはりおかしく
と思う。また、春画は人間の官能を超えたところに訴える迫力があると感じるのである。 なお、ここに発表した作品はどれもしかるべく修正を行っている。不特定多数に見せると犯罪である。修正前のを見せてくれとメールを下
さってもご要望には応じられないので悪しからず。 (2002.12.31追記) この頃は3Dに否定的で、とても今のように3Dにはまっている白川の姿は想像できな い。Dazのビクトリアや関連製品の登場によりPoserの表現力が飛躍的に向上するのはこの後のこと。 |