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第21話
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「駄目なら口でもいいんだ。俺のザーメンも紀美子に飲み込ませてやりたいぜ」
「しょうがないわね……紀美ちゃん、どうする? 遠藤さんが紀美ちゃんに自分のも飲んでほしい、っていっているわよ」
妻は表情に戸惑いを浮かべ、竹井の方を見ました。それはまるで犬が飼い主に指示を求めるような視線でした。妻の顔が画面に大写しになり、そこでビデオは
停止しました。
あまりにも衝撃的なビデオを見た私は、しばらくの間ソファから起き上がることができませんでした。ビデオはいったん停止した後巻き戻され、画面は平日の
昼間にありがちな、お笑いタレントが司会のバラエティ番組を映し出しています。あまりにも日常的なその光景が私には信じられませんでした。
今の「デリヘルプレイ」での妻の姿、それが竹井や玲子さんから強制されたものなのか、それとも玲子さんの言うように妻がむしろ貪欲に主導権をとって、背
徳的な快楽を求めたものなのか、私には全く判断ができませんでした。妻の言うことを信じるならば強制されたものだと見ることもできますし、玲子さんの言う
ことを信じるならば妻主導のプレイのようにも見えるのです。
少なくともほぼ確実に言えるのは、妻の表情からはなんらかの薬を投与されたようには見えないことです。強制されたとしてもそうでないにしても、妻は羞恥
の表情を浮かべながらも竹井や玲子さんとそれなりのやり取りをしていました。妻が主体的にプレイにのめり込んだのかどうかは、今見たビデオだけでは判断が
つかないのです。
このビデオにはおそらく続きがあるのではないか。そこで妻が激しく抵抗し、結果としてプレイが中断されたのを知られたくないために、玲子さんが途中で
カットしたのではないかという考えが浮かびました。しかしそれも、今は推測に過ぎません。
私はテーブルの上の5枚のCDーRを取り上げると自室に向かい、「1」と番号が振ってあるディスクをドライブに挿入しました。
JPEGファイルに関連づけられているスライドショーのソフトが立ち上がり、大きめの液晶画面いっぱいにデジカメの画像が映し出されます。私はそこにい
きなり妻の痴態が現れるかと覚悟していたのですが、意外なことに最初に映されたのは桜の木の下に立つ玲子さんの姿でした。
玲子さんは身体にぴったりフィットしたシャツブラウスにローライズのジーンズという姿で、私が春の終わりごろマンションで見かけた格好とよく似ていまし
た。
何枚か玲子さんの写真の後、妻の写真が現れました。妻は玲子さんと同様、身体の線がはっきり見えるシャツブラウスにローライズジーンズという姿です。桜
の花が写っているということは、私がマンションの駐車場で玲子さんの大胆な姿を見かける前のことです。
妻は最初、玲子さんの服装がTシャツにローライズといった程度の時は「若い恋人ができたから」ということで納得していました。しかしその後ビキニの水着
姿で玄関先まで出て来たとか、あるいはカットジーンズとタンクトップ姿で買い物をするところを見かけたということを、私にやや批判的に話していたことがあ
ります。
妻が玲子さんの影響を受けて、私の前でパンティが見えるようなローライズのジーンズをはくようになったのは夏の始めのころです。妻はそれを、私が玲子さ
んのローライズ姿に見とれていたから「旦那さんを私にとられないように」玲子さんから薦められて買ったと説明していました。
しかし事実はすでに桜の季節に妻はこのような大胆な姿を人前に晒していたことになります。他に何もなければ夫婦の間の他愛のない秘密、罪のない嘘で済ま
すことができることですが、私はこんな些細な事からも妻への不信感をかきたてられずにはいられませんでした。
妻の少し恥ずかしそうな笑顔を捉えた写真が数枚続いた後に現れた写真に私はショックを受けました。それは桜の下に立つ遠藤と竹井の写真でした。
(どうして竹井がここに……)
私は訳が分からなくなりました。妻と竹井は私が玲子さん一家と海に行った時に始めて会ったのだとばかり思っていました。現に妻はその時いかにも初対面だ
という応対をして、竹井に対してバレーボールの選手をしていたころのポジションなどを訪ねていたことを覚えています。
次に遠藤と玲子さんが仲良く腕を組んでいる写真が数枚続きます。いかにも恋人同士といった親密な雰囲気で、玲子さんが若々しいせいか、8歳もの年の差は
感じられません。私はマウスをクリックして、スライドショーを進めて行きます。
次に現れたのは竹井と妻のツーショットでした。腕こそ組んでいませんが、親しげに身体を寄せ合っており、知らない人が見れば夫婦か恋人同士と思われても
不思議はありません。妻は少し困ったような表情をしているようですが、恥ずかしげなその顔は決して嫌がってはいないのが分かります。
どういうことでしょう? 玲子さんと遠藤、そして妻と竹井がダブルデートをしたのでしょうか。そうではなく、妻は玲子さんと2人で花見に行くつもりで、
現地で遠藤と竹井が待っていることは知らなかったことも考えられます。
しかしたとえそうであっても、玲子さんの家族と海に行った時に、目的地で遠藤と竹井が待っていることを妻が知らなかったというのは極めて怪しくなりま
す。少なくともその場で妻は私に、竹井とは初対面だという、つかなくても良いはずの嘘をついたのですから。
次に妻がオープンカフェで珈琲を前に、携帯を眺めている写真が現れました。妻は撮らないで、という風に照れ笑いをしながら手でカメラを遮るようにしてい
ますが、やがて諦めたようにポーズをとったりしています。玲子さんに催促されたのでしょうか、妻は携帯の画面をカメラの前に差し出しました。
そこには妻と竹井のツーショットが写し出されていました。それは玲子さんのカメラで撮られたものとは違って、妻と竹井は腕を組んでいます。妻の携帯のカ
メラで遠藤か玲子さんが撮ったのでしょうか、それとも遠藤か竹井の携帯で撮ったものが妻に送られて来たのでしょうか。
小さな携帯の画面を撮っているためにはっきりとはわかりませんが、少なくとも妻の目線はカメラの方を向いていないとように思えます。玲子さんからカメラ
を向けているうちはそのようなポーズはとらなかったのが、油断したところを遠藤がカメラ付携帯でとったのでしょうか。
たまたま女友達の恋人とその友人に会った。自分よりも5歳も年下のその男から容姿を褒められ、一緒に写真を撮ってくれとまで頼まれた。その写真が一枚、
記念にということで送られて来た。一度きりでもう二度と会う機会がないからこそつい大胆に腕まで組んでしまった。妻に好意的に考えるとそういう解釈もでき
ます。
次の写真は玲子さんのマンションの部屋で撮られたもののようです。玲子さんが黒いTバックのビキニ姿で様々なポーズをとっています。大きな乳房がブラ
ジャーからこぼれ落ちそうで、後ろを向いた時のほとんど裸といって良いヒップも実に扇情的です。
その次に妻の姿が現れました。妻は色こそ清純そうな白ですが、デザインは玲子さんが着ていたのと同じように大胆なTバックでした。妻が海に行った時に着
たオレンジのビキニもこれほどではありませんでした。
妻は写真を撮られるのが苦手で、何枚か持っている競泳用の水着姿でさえ、写真はほとんどありません。そんな妻が恥ずかしそうにしているとはいえ、Tバッ
クの水着姿を写真に撮らせるなど、想像もできないことでした。
玲子さんと妻はまるで水着のファッションショーを楽しむように、色々なビキニを着てはお互いに写真を撮っているようです。妻が玲子さんが着ていた黒いT
バックを着たり、玲子さんが妻が着ていた白いTバックを着たり、2人のビキニ姿の写真が何枚も続きました。
玲子さんはもちろん、妻も段々撮られることに慣れて大胆になって来たようで、モデルのように頭の後ろで腕を組んでみたり、後ろ向きになってお尻を突き出
したりしています。
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